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第105話 光也の父

作者: 酔夫人
last update publish date: 2026-07-08 13:08:59

高級ホテルの車寄せへ車が滑り込む。

ホテルマンが外から扉を開き、実花はゆっくりと外へ足を踏み出した。

深いネイビーのドレスの裾が揺れる。

(大丈夫)

実花が顔を上げると耳元でイヤリングが揺れた。

背中を押された気がした。

.

豪華なシャンデリアが輝くホテルの正面玄関を潜る。

先に到着していた人たちだろう。

国内有数の企業経営者や政治家、名家の当主たちがそこにいた。

会場に入ろうとしていた彼らは実花たちを見て足を止める。

驚いた顔。

でも。

「行くぞ」

光也が静かに声を掛ける。

「はい」

実花は頷き、周りを気にせず会場に進む彼の隣へ並んだ。

会場に入る。

その瞬間、空気が変わった。

一斉に視線が集まる。

噂の中心人物として待たれていた。

その空気を実花は肌で感じた。

「光也」

声のしたほうを振り返る。

そこには光也の父――東国家当主が笑顔で立っていた。

「来たか」

「お待たせしました」

「待ちくたびれたぞ」

「私を待っていたのではないでしょう?」

光也の冷ややかな声。

“私”という一人称。

(交流はあまりしていないみたい)

東国家の当主には愛人が幾人もいて、光也の母親もその一人だと聞い
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